「ガロア理論の頂を踏む(石井俊全著)」p. 461
「ガロア理論の頂を踏む(石井俊全著)」p. 461 引用ここから「
5乗する自己同型写像σ(ζ)=ζ^5は次のようにして求めました。
σ(ζ)=ζ^xであるとします。
9の原始根は2 or 5なので、2べき、5べきは、
2, 4, 8, 7, 5, 1 or 5, 7, 8, 4, 2, 1 (mod 9)
となりますが、これを5倍して
10, 20, 40, 35, 25, 5 or 25, 35, 40, 20, 10 , 5 (mod 45)
としたいわけです。
」引用ここまで
Q(ζ)/Qが累巡回拡大であることは一般論からいえているので、p457~462の記載にそれほどこだわる必要はないとは思っていますが、初見で意味を理解しかねました。
なぜわかりにくいか。ここではQ(ζ^5)/Q(ζ^45)=Q(ζ^45, ζ^20)/Q(ζ^45)を考えている。今までの計算では、Q(ζ^45)を不変にする同型写像を考える際、ζ^20の移り先を考えてみようとしていた(例えば、p390)。それがp460では、ζ^20ではなく、ζ^5の移り先を考えようとしていることにわかりにくさの原因があると思われる。
これは次のように考えればよい。ζ^20=exp(2πi/9)≡ξとする。単純に同型写像によるξの移り先の候補を考えると、円分多項式Ф_9=0の解であり、それらは、ξ, ξ^2, ξ^4, ξ^5, ξ^7, ξ^8の6つである。9の原始根が2, 5であることから、
σ(ξ)=ξ^2または、σ(ξ)=ξ^5とすれば、σ^6 = eのようにできる。
すなわち、σ(ξ)=ξ^2の場合
σ(ξ)=ξ^2 (これはζを用いると、σ(ζ^20)=ζ^40
σ^2(ξ)=ξ^4
σ^3(ξ)=ξ^8
σ^4(ξ)=ξ^7
σ^5(ξ)=ξ^5
σ^6(ξ)=ξ
σ(ζ)=ζ^xとすると、ζ^20は、
ζ^20→ζ^{20x}→ζ^{20x^2}→ζ^{20x^3}→ζ^{20x^4}→ζ^{20x^5}→ζ^{20x^6}
のように写される。ζは180乗根なので、20x ≡ 40 mod 180とすればよい。ここから、x ≡ 2 mod 9 (p461の下から2行目)が出てくる。
なお、xはp462にあるようにζ^45を不変にする条件も満たす必要がある。
気が向いたら、Q(ζ)/Qが累巡回拡大であることと、巡回群の直積について可解列を作れること(p179)との関連について、一般のζで示してみよう(本ではζが27乗根、16乗根、180乗根の場合で示していたがp^s * q^t * r^u乗根の場合で示すということ)。もしくは、p459では、特に理由も説明せずにQに1の原始4乗根、1の原始9乗根、1の原始5乗根を加えてQ(ζ)作ればよいとしているが、どうしてこれでよいのか考えてみよう。