「ガロア理論の頂を踏む(石井俊全著)」p. 387

ガロア理論の頂を踏む(石井俊全著)」p. 387 引用ここから「

Lの正規性により、Lの元βを解に含むM上のg(x)=0の解

 \beta_{1}=\beta,  \beta_{2}, …,  \beta_{m} はすべてLに含まれます。 

」引用ここまで

この記載は若干説明が足りていないと思われる。なぜなら正規性の定義として、

 

ガロア理論の頂を踏む(石井俊全著)」p. 383 引用ここから「

一般にQを含む体Kから任意の元をとってきてその Q上の最小多項式f(x)を考えます。このときのf(x)のすべての解がKの元であるとき、KはQ上で正規性を持つといいます。

」引用ここまで

とあり、また、定理5.30でも「Q上での」最小多項式を考えているからである。

 

p. 387 の記載は次のように考えればよい。βを解にもつ「Q上の」最小多項式をf(x)とすると、f(x)はM上では既約ではないかもしれない。f(x)はM上での最小多項式g(x)と共通解βをもつので、f(x)はg(x)で割り切れる。よって、g(x)=0の解は、f(x)=0の解に含まれる。f(x)=0の解は、Lの正規性よりLに含まれる。これより、g(x)=0の解は、Lに含まれる。